腐った「大引き」を 「追掛大栓継ぎ」で 継いでみる ・・・

 作業上 、ちょっと不便なので 腐った大引きを 先に 何とかしよう …と 、「 追掛大栓継ぎ」で 継いで 復旧してみます 。

 写真右側の 腐った土台に 接続されていた大引きの 接合部分も 腐っています 。

ひっくり返して見たところです 。

 
 「腰掛あり掛け」という仕口で つなぐのが 普通でしょうが 、蟻が省略されて 釘打ちでした 。
 土台の横に 貫が打ってありますが 、これは 本来なら 土台の上端で レベルを出すので不要なのですが 、土台のレベルを出さず、貫を垂木のレベルが出るように打ち付けて 床のレベルさえ出ればいい…ということで 打ったもののようです 。

 ここに限らず この家の一階の床の下地の垂木は レベルが出ない所は 、こういった土台や大引きの横に打ち付けられた貫に よって 調整されています 。
 これでも 約50年 、持つのだな と思いました 。
 見習いたくは 無いですが・・・

 つまり 基礎も 土台も レベルが 出ていません 。

 大引きの 片側は 腐ってて ダメで すが、もう一方は まだ大丈夫そうです 。

 腐ってる部分を 切ってみます 。

 案外 、中までは 腐っていないようです 。
 白く見える部分は まだ強度があり 「追掛大栓継おっかけだいせんつぎ」で 継いで 使えるかもな?… と思えます 。

 よく見ると 大きな節が あり 、それを 避けながら できるだけ長くなるようにしようと思います 。

 墨付けしてみます 。

 前回 、この継ぎ手を やった時 、組むことはできたのですが 結構 隙間が 空き 、墨付けの精度が 悪かったように思えたので、今回は 鉛筆のしんとがらせて のぞみます ・・・
( ちなみに 画面に見える緑色の小さい物体は 最近更新した鉛筆の最短記録です 。)

 鉛筆の芯を 尖らせ 、できるだけ精度を上げて 墨付けし 、できるだけ正確に切り始めました… が 、あっさりと 残すべき方を 切ってしまいました 。切るのは 節のある 向こう側でした 。

 まぁ 、仕方ないので ここから できるだけ長く材料が取れるように 墨付けし直します 。
 切り落とす方も できるだけ 何かに使えるように 大きい塊で 落とします 。

 きざんで 行きます 。

慎重に 正確に 丸鋸の刃の出を合わせ 、、、

 正確に 切ったつもりが 少し切り過ぎです 。

 欠き取る時に できるだけ修正 。。。

 ノミの 切れ味が いまいち 、いまに 、、で 切れるというよりは むしり取る… という感覚なので 研ぎます 。
 刃の先端が 白い線のように見えるようじゃぁ 、切れるとは 言えません 。。。

 ノミは 100円ショップで 数百円で売っていたものです 。試してみたら 研げば切れるのと 金づちで叩けるので 使い勝手が いいです 。金輪のついた木柄のノミは 金づちで 叩いていると 壊れてきますし 、木づちの方も 結構壊れてきて 直したり 作り変えたりしなければ ならなかったので 。

 砥石は 荒砥 、中砥 ( #800 ) 、超仕上げ ( # 6000 ) です 。

 研ぎ上がりました 。

 
 切ってみます 。

 官能的な切れ味とは 言えませんが 実用的には OK です 。すごく切れるノミは 節に当たると パキンと刃こぼれしたりして 研ぐのに時間が かかったりするので 研げば切れる そこそこのノミが ぼくにとっては 実用的です 。
 
 刃物は 切れれば 切れるほど 楽しいですがね 。
 より切れるものは より硬く 、硬いものは 衝撃に 弱く 脆いです 。

 硬いものほど 研ぐのは より時間がかかりますが 番手を上げて 細かい砥石にして行けばいくほど 光ってきます 。
 #8000 くらいになってくると 研ぐと更に光り出すものと もうそれ以上光沢が出ないものなどに 別れ なんとなくわかります 。
 更に光る というか 光沢の増すものの 切れ味は 凄いですね 。
 ものに当てただけで 力を入れなくても 吸いついていくような 感覚が あります 。
 包丁なんかの場合だと 野菜 、例えば キュウリに そっと 当てただけで 吸いつくように 少し切れます 。
 こうなると 実用の領域を 超えて 官能の領域に入り 、必要ないのに キュウリを切っていたくなります 。(笑)

 ドリルと ノミで 残りの溝になった部分を 刻んで 行きます 。ノミだけで 欠き落とすより ドリル刃を使う方が かなり速いからです 。特に かど

 Φ5mm の 木工用のキリで 入隅 ( 角 ) を ざっくりと 落としたいのですが 手持ちのドリルでやると 穴が かなり曲がるので そのガイドとして 鉄工用の Φ2mm の ドリル刃を できるだけ まっすぐ 穴を あけます 。
 
 Φ2mmの ドリル刃を 使う時も そのままでは かなり 曲がるので 木片で作ったドリル・ガイドを あてがいます 。
 やらないよりは かなりいいです 。

 この木片のドリル・ガイドの いい所は ドリル刃の径が 入隅に おさまるくらいまでは 自由に選べるのと ある程度 入って 方向が決まったら ドリルを回したまま 外して 一番奥まで ドリル刃を 入れることができて いいです 。
 
 コンパネの 端材で 簡単に 作れます 。

 穴の位置は 継ぎ手の精度を それほど気にしなければ 角でもいいのですが 、Φ5mmのキリが 角に内接 、内側でおさまるように 一応 角から内側に 寄せました 。

 Φ5mm の穴を あけます 。

 Φ14 mm の きりで 溝の真ん中を 掘っていきます 。Φ15 mm でも いいのですが 、今回は できるだけ精度高めたいので…

 あとは ノミで 欠き取っていきます 。

 とりあえず できました 。

 では もう一方を 作っていきます 。
 とりあえず 材料を あてがってみます 。

 墨付けして 刻んで いきます 。

 両方 でき上ったので 組んでみます 。
 あと一寸 ( 3センチ ) くらいの所で 止まりました 。

 どうして 入らないのでしょうか ?
 よく見てみます 。

 先端の溝に入る部分は 少し隙間があって 側面に当たる部分は ぴったりです 。
 ぴったりな部分を 少し削る必要が あるかと思えます 。

 真ん中の 斜めに滑っていく部分の刻みも まだ甘いようです 。
 まだ 少し 墨が残っていますので できるだけ正確に 削ってみます 。


 0.5mm ~ 1.0mm くらい まだ削れそうです 。

 では もう一方の相方の方も 見てみます 。
 もう 少し こちらも 墨まで残っています 。
 削ってみます 。

 これで 一度組んでみます 。
 観察した感じでは 、継ぎ手の先端の溝に はまる部分じゃない側面部分も 削らないと入らない と思いますが 、削り過ぎて ゆるゆるに ならぬように このくらいで どのくらい沈んでくれるのか?も 見てみようと 思います 。

 今回は あと20mm 。
 前回は あと30mm でした 。

 溝にはまる部分は まだ少し隙間あり 、側面の部分は 密着です 。
 側面の部分を 削ってみます 。

 組んでみます 。

 あと 8mm くらいですね 。

 よく見ると 溝にはまる部分の先端に 段差のある部分が あったので そこを 削ります 。
 それから もう一方の方の 先端の側面に当たる部分を 0.5mm くらい削ってみます 。もうほとんど隙間は 無いのですが 材料が 押し込まれて 若干つぶれて 入るのではないか?という想定です 。

 4回目 組んでみます 。

 あと 5mmくらいです 。

 もう ほとんど隙間はないのですが 先端の側面に当たる部分を それぞれ 0.5mm くらい削って 組んでみます 。

 あと3mm くらいの所で 止まったのですが 、見た目は もう隙間もないし 組むのも5回目なので これで何とかならないか?… と今までより強く掛矢で ぶっ叩いたら 面一に 平面が合って 入りました 。
 新材ではなく 廃材というか古い材なので ボッキリ 折れるんじゃないか?… と 心配でしたが 。。。

 以前 、廃材で小屋組みをして 小屋束に 母屋を 入れようとして 掛矢で ガンガン叩いていたら 新材では まず 掛矢で叩いて折れることはない 三五角 ( 三寸五分角 , 105 mm 角 ) の部材が ボッキリ … いってしまったことがありました 。


 次は 込み栓です 。

 丸栓と角栓 、丸棒か角棒で やるらしいのですが 、角栓は そのサイズ (対辺距離 15 mm 、五分角 ) の角ノミが ないと かなり手間がかかりそうなので Φ15 mm の木工用のキリで 貫通穴を開け 丸棒を 差し込むのが 現実的 ?… かなと 思ったのですが 、
ドリル・スタンドで使う12.7mm の角ノミが あったので それでやってみることに します 。

 たぶん 角ノミで いきなり開けようとすると 抵抗が 大きすぎて 開かないんじゃないか?と思い Φ8mm までは 木工用のキリで 下穴を開けようと思います 。

 両側から 開けて ぴったり一直線な貫通穴が 開く… とは思えないので まず 、小さめの穴で貫通させ 、芯というか軸というか 穴のアライメント?を 修正しながら やっては どうか?… と思いました 。

 まず Φ2mm の ガイド穴 、そのガイド穴に Φ8 mm の 木工用キリで 貫通穴 、それから 角ノミ という順序で やってみます 。

 両側から 開けたΦ8 mm の穴の軸は 内部でズレて 曲がり角のあるトンネル … のような 状態となり 、穴径の棒が 入らない状況です 。
 角ノミは 対辺距離 12.7 mm (1/2 インチ ) なので 軸が合うように 少し修正しながら 開けたら 何とかなるかな? …とやってみます 。

 開けた角穴を 両側から見てみます 。

 この角度で見るのが 一番反対側の開口が 見えました 。
 明らかに ずれ というか トンネルが クランク状に 曲がっている … 感じです

 角ノミが 継ぎ手を組んだ状態では 貫通できない長さなので 、一度 継ぎ手を 外して それぞれ できるだけ正確に 角穴を開けて 組み直した方が 良さそうです 。

 組んだ状態で 墨付けしておきます 。

 外す時 少し欠けてしまいました 。

 内側にも 墨付けします 。
 これだけ 穴が 中では ずれています 。

 角ノミで 穴を 開ける前に 角ノミを 磨いてみます 。
 錆びていて 引き抜いたりする時 すごく動きが悪いので 。

 磨いてみます 。

 表面を 磨いていたら 形状も 少し変えようかな?… と思いました 。
 できるだけ 深い穴 、できるだけ スムーズに 穴に出入り … できるように 。


 刃も研いでみます 。
 半月状の 断面の ダイヤモンドやすりで 研いでみました 。
 「かえり」だけ 仕上砥で 研ぎました 。

 このダイヤモンド・やすりの粒度では 切れ味は あまり期待できないかな?… とは 思いますが 、角ノミの内側を 研ぐ道具を 他に思いつけなかったので 。
 角ノミというのは ぐぅっと 力で 押し込んで使うものなのですかね?
 すぅ - っと 入っていくと 気持ちいいんでしょうけれど …

 

ドリル・スタンド式の角ノミで 穴を開けてみます 。

 このあと 手ノミで 仕上げましたが ほぼ 角ノミだけで 貫通穴が 開きました 。

 穴に差し込む 込み栓を 作ってみます 。
 材料は 松の胴縁ですが せいぜい 年輪の密のものを 選びました 。
 
 栓の方は 穴と違い 角棒の方が 丸鋸で 作りやすくて いいですね 。
 丸棒を 作るとなると 旋盤 または 旋盤のようなもの が 必要に なるので 。

 対辺12.7 mm の 角穴に 対辺13 mm くらいの 少し大きめの栓を 当て木をしながら 金づちで 叩き入れました 。
 途中から 入らなくなるかな?… と思いましたが 思いのほか 栓の方が 変形して 入ってくれたようです 。

 位置がずれて 穴が広くなった部分を 埋めてみます 。

 裏と表を 見てみます 。

 打ち込む先の方は 出る分を切ろうと思ってましたが 出てても 使う場所的には 支障ないので そのままの方が なんとなく「木の仕事」的で 感じいいな … と思い とりあえず そのままに 。

 もう片方も 入れていきます 。

 当て木しないで 掛矢で 入れてみました 。

 裏側です 。

 これで 一応 追掛大栓継は 完成です 。
 
 現場に 取り付けてみます 。

 まったくの 真ん中付近に 継ぎ手が 来ていますね 。
 一番 応力の掛かる 、力の要る場所に …

 では ちゃんと 持つのか? 上で 跳ねてみます 。


 とりあえず 大丈夫なようです 。

 2階の屋根から 落としてみたら どうなるでしょうか?

 やってみます 。

 とりあえず 落とす前の 状態の確認です 。

それでは 落としてみます 。

とりあえず 見てみます 。

 継ぎ手を はずして 中の状態を 見てみます 。

 まず 栓を はずします 。
 写真の中の右側にある 折れた木の棒は 栓を抜くために 栓をたたいた棒です 。
 木で いいだろう… と その辺にあったものを 削って 使ったら 2本 折れました 。

 それで 鉄の丸棒を 持ってきて 叩き出した というわけです 。
 栓それ自体は 松材で そんなに硬くはないのですが 、かなり表面が 変形しながら 締まって入っているようです 。

 はずした中の状態です 。
 細工した継ぎ手自体に 損傷は ありませんでした 。
 割れたのは 継ぎ手の溝のあたりから 角材本体に かけてです 。

 この継ぎ手は 上下方向の力には 非常に強く 、力が掛かると 互いに押し付けあって 動かないようなのですが 、
横方向の力には 継ぎ手自体は 損傷なくとも 溝にはまっている先端の部分から 本体の角材に 横方向の 裂くような力が伝わえり 割れが 入るのでは ないでしょうか?

 つまり 、継ぎ手に 横方向の力が掛かった場合 、先端の溝の部分に「薪割り」する時のよう力が 発生して 角材本体が 裂けるのでは ないか?… と思えます 。

 この部材は 床を支える「大引き」なので 上下方向 、上からの重さを支えます 。
 スパンは 一間 、180 cm 、部材の背の高さとしては 3寸5分 、105 mm あれば良く 、
割れはしましたが 縦に割れているので これ以上割れないよう処置すれば 使っても 大丈夫だろう… と 、
補修して 使うことにします 。

 90 mm の コース・スレッド 2 本 、90 mm の 丸くぎ 2 本で 補強します 。
 コース・スレッドで これ以上割れないように 引き寄せて 剪断力に弱い コース・スレッドの 補強のために 曲がるけど 折れにくい丸くぎで 補助します 。

 コース・スレッドの先端が 濡れているのは 潤滑の為のオイルです 。
 下穴を開けても 75 mm 、90 mm のものとなってくると そのままでは 打ち込むのに かなりドライバーの電池を消耗するので 。

 配置前の 最終的な 継ぎ手の状態です 。

 それでは 現場に 配置して また その上で 跳ねてみます 。

 とりあえず 地味に暮らす分には 大丈夫… と思います 。

 この上で ダンスの練習や 柔道の受け身の稽古など したくなった時には また考えます 。


 それでは 「追っ掛け大栓継ぎで 大引きを 補修してみる」を 終わります 。
 おつかれさま 。。。

 ありがとうございます。



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